(10)道具箱

ラジオを修理したり,無線機を修理したり,ワイヤーアンテナを作ったり,簡単な測定器や周辺機器も作ったりして楽しみます.
道具箱には何十年も使っているマイナスドライバーや痛んでしまったので最近新調したドライバー,思い入れのあるテスターや自作した真空管足延長ソケット,何種類かの半田ごて等.少年の道具箱ではラジオ作りを楽しむための基本の道具から拘りの道具,お気に入りの道具を紹介して行きたいと思います.
ラジオ作りを始めるために全てを揃える必要はありません.まずはニッパー,ラジオペンチ,ドライバーとテスター,そして半田ゴテがあれば,ゲルマニュームラジオやトランジスターラジオキットの製作,や真空管ラジオの修理を楽しむ事ができます.

ニッパーやドライバー

 

ラジオを組み立てるのにネジが必要になります.ドライバーや,線を切るためのニッパーは必須となる道具です.
道具箱基本
ニッパー, ラジオペンチ,マイナスドライバーはラジオのツマミの取り付けのために先端の幅が2.5mmの物が欲しいです.
精密ドライバー,ピンセット,歯ブラシが見えていますが隙間の掃除に使います.
黒いテープは自己融着粘着テープです.

テスター

テスターはラジオ作りにとって必需品です.
テスター
左はデジタルテスター 右はアナログテスターです.
テスターで測定
一般的なアナログテスターは抵抗値(R)を測定できます.測定範囲は 数Ωから数MΩまで,
電圧は直流電圧(DCV),交流電圧(ACV)を測定できます.測定範囲は0.3Vから1000V程度まで,

直流電流(I)を測定できます.測定範囲は60μから300mA程度まで,交流電流や300mA以上の大電流は測定できません.
デジタルテスターにはコンデンサの容量測定や周波数カウンターの機能もありますが使い勝手はいまいちです.
デジタルテスターとアナログテスターのどちらが使いやすいかですが,断然アナログテスターが使いやすいです.
測定する時は期待値があり,(例えばこの抵抗は300Ωのはずだが,とか300V出ているか等) アナログテスターの場合は針の振れを見て瞬時にわかります.
一方のデジタルテスターはテスト棒を測定対象に当てても瞬時に数値は表示されません,一瞬の間が空いて数値が出てきます.その数値を読んで期待値になっているか判断する必要があります.両方のテスターを持っていても私が良く使うのはアナログテスターです.

ボックスドライバー・ナットドライバー

ボックスドライバーとは,ナット回しとも呼んでいて,ラジオ作りには欠かせない道具です.
真空管ラジオの込み入った配線を潜り抜け奥にあるナット(ボルトナットのナット)を容易に絞めたり,緩めたりすることができます.
これかない場合はラジオペンチで代用しますが,ナット回しがあるとないでは雲泥の差が出ます.
ボックスドライバー
上の2本はミリ(JIS規格) 下の黄色 はインチ規格です.
インチ規格 1/4" x 3" はHallicrafters 受信機の保守で使います.
これ1本あれはS-20Rのコイルパックも分解でき,コイルパックの奥にあるV2 6K8 真空管のC7 C8 カソードパスコンの交換ができます.
Hallicrafters 受信はケースが1/4"六角で止めてありますので,ハリクラのリペアーを楽しむ方に 「六角ナット・ドライバー 1/4 インチ」は,特別にお勧めの1本です .

六角レンチ

六角レンチ
六角レンチも必須の道具です.

画像左は SPLINE KEY KIT : BRISTOL WRENCH
  Collins KWM-2 や S-Lline のメンテに欠かせないレンチです.
 ツマミの締め付けに使うサイズには目印を付けておいて一発で選択できるようにしています.
  Hallicrafters の一部のツマミもこのレンチが必要です.

画像中は インチ規格のレンチです.
  100円ショップにも売っていますので1組用意しておくと安心です

画像右はJIS規格のレンチです.
  モービルホイップを車に取り付けるための基台はこのレンチを使います.

ソケットアダプター 9P用

ソケットアダプタ

Collins KWM-2のシャーシ内部はとても混雑しています.
真空管のピンにテスター棒やプローブをあてようとしても届かないことがしばしばです.
そんな時に活躍するのがソケットアダプターです.
上銘正規さん著の書籍「KWM-2メンテナンス」51頁にも紹介されていますが,mT管のプラグとソケットを1組用意し,長さ30mmのビスナットで固定し各ピンを接続します.
このソケットアダプターに工夫した所は,ピンの番号をソケットに書いておく所と,プローブが引っかけやすいように爪を作っています.
M2をメンテナンスする場合は9Pだけ作っておれば足ります.

ワイヤーストリッパー

ワイヤーストリッパー

ワイヤーストリッパーは,電線や導線の表面を覆う,ビニールや塩ビの被覆を除去するための工具です.
これがない時はカッターナイフかニッパーの先端を使い被覆に傷を付けて剥がします,すると芯線に傷をつけやすくなり,上手に被覆を除去するにはワイヤーストリッパーがお勧めです.
ワイヤーストリッパーには,芯線の径に合わせた刃が付いているため,加工する電線の仕様に合わせます.

半田ごて

半田ごて

半田ごてはラジオ作りの必需品です.
半田ごては温度調節ができるものが望ましい.
半田を約250度で溶かすのが推奨され、こて先を350~360度に保つのが最適とされています.
こて台は、作業中に半田ごてを置く際に使用します。こて台には、半田ごてを差し込み式にしている物が一般的で、こて先クリーナーが付いています.
こて先クリーナーはスポンジで水分を含ませておき,こて先をなぞって奇麗にします.ジュッ!と音がします.
手前はPASTE(ペースト)と半田吸い取り線です.半田吸い取り線がない時はシールド線や同軸ケーブルの中線を引っ張り出してジャバラ線のみにして使います.

LCRメーター DE-5000

LCRメーター
高精度LCRメーターはその名の通り,LとCとRの測定ができます.
通常はテスターにてRの測定ができますが,正確なC(コンデンサーの容量)やL(コイルのインダクタンス)の測定は専用器がないと測定できません.
CやLの測定ができる測定器は夢の測定器です.
このLCRメーターの利用例として,高1中2受信機のBFO発振を6VA5の検波部への注入するコンデカサーは通常2本のビニール線を捩って作りますが,1pF~9pFの希望する容量のコンデンサーが測定値を見ながら簡単に作れます.
高精度LCRメータDE-5000の主な仕様
・測定レンジ
L:20.000μH(最小分解能0.001μH)~2000H
C:200.00pF(最小分解能0.01pF)~20.00mF
R:20.000Ω(最小分解能0.001Ω)~200.0MΩ
・交流試験周波数:100Hz/120Hz/1kHz/10kHz/100kHz (/DC)

トラブルシューティグ DE-5000の測定値が異常になった (ワンポイントアドバイス)

ある日突然DE-5000の測定値が異常値になりました.100pF は300pF 抵抗は10kΩが3kΩの値となります.
キャリブレーションは正常終了します.
異常となる原因はTL-21アダプターの赤ワニ口クリップの中に赤線と白線の2本の配線がありますが,白線が断線していました.
DE-5000が異常値を示すようになったらワニグチクリップ内に断線がないか調べてみてください.

スタンディング ウェーブ アナライザー

スタンディングウェーブアナライザー
 スタンディング ウェーブ アナライザは、アンテナのSWR、インピーダンス、共振周波数などを測定する測定器です.
 測定に必要な高周波発振器、SWR計、インピーダンスブリッジを装備しており簡単な操作で正確な操作で測定ができます。
 HF~VHFバンドのさまざまなアンテナの調整に使うことができとても便利な道具です.

ツールクリッパー | カニの爪

ツールクリッパー

少年が名付けたニックネームは「カニの爪」 正式名称はツールクリッパーです.
カニの爪は細かい物の半田付けに便利です.

カニの爪で押さえてもらうと両手が自由に使えるので,正確な半田付けの作業ができます
補助工具としてクリップに挟んで作業するととても便利です.
クリップおよびその他のジョイントは360°回転します.
ジョイントはねじれ弾性を装備することができ自由に調整することができます.

SG: Signal Generater

signal generater

Signal Generater信号発生器です,
主に受信機のIFT(中間周波トランス)の調整や高周波コイルのトラッキング調節のために信号を発振させます.
150kHzから350MHzの帯域を発振しますが100M~350Mは第三高調波を利用しています.
スーパーラジオの中間周波数は通常455kHzに調節しますが,1950年以前は463kHzが使われていました.

トラッキング調節

トラッキングの調整とは,受信帯域においてANTコイルやRFRFコイルの同調周波数と局発周波数の差を,中間周波数になるよう調整することです.
Sメーターが付いている場合はSメーターを利用して調節します.
Sメーターがない場合はAVC回路にテスターを当ててAVC電圧値を読んで調節します.

_ つづく

73 

<< 前のページに戻る